「和柄」とは?「和柄」の種類と模様の意味
日本の伝統模様「和柄」は年賀状に欠かせないアイテムです。和柄は種類が豊富で、そのデザインは普遍的な美しさを持っています。
和柄にはそれぞれ固有の意味があって、単調な文様の中にも実は様々な願いが込められています。縁起物と同じく、新年のご挨拶に和柄を織り込むことで福運や無事をささやかに祈願できます。ここでは、和柄の種類、その名前と読み方、由来や意味、秘められた縁起について解説していきます。和柄の意味を知って、年賀状を出す相手に最適なデザインを選びましょう。年賀状に和柄を使ったイラストの見本も掲載しています。
日本の伝統的な模様です。日本文化、生活の隅々に浸透した意匠で、古くは縄文時代の石器にも刻まれていたそうです。仏教との関連が深く、インドや中国から伝わった形状を日本人の繊細な感性でアレンジした紋様にはそれぞれ宗教的な意味が秘められています。特に慶事に使われるおめでたい柄は「吉祥紋(きっしょうもん)」と呼ばれ、縁起の良いシンボルとして定着しています。
和柄の連続模様に共通する意味
和柄には上下左右に連続して途切れることなく続く文様が数多くあります。ここに共通するのは「絶えることなくいつまでも続く」という意味です。
新しい年に第一に願うのは何と言っても無病息災。和の連続模様をデザインに使うだけで、相手の無事を祈る思いを年賀状に込めることができます。
水の和柄
「水」は命の源。大きな時の流れをイメージし、生命を浄化し、育くむ自然の恵みを示しています。深い愛情や癒やしを表すので、子育てに奮闘中の友人や病後のリハビリ中の知人への年賀状に最適です。
青海波(せいがいは)文様
半円の連なりを交互にずらした模様で、雅楽「青海波」の舞台衣装が名前の由来です。一見して分かるように穏やかに広がる大海をイメージしています。魚の鱗のようにも見え、手ぬぐいや和食器など広範囲に使われている馴染み深い柄ですね。吉祥紋の一つで、順風満帆な人生という意味が込められています。連続模様の代表格。青海波の繰り返し文様は「商い」=「飽きない」に通じることから、日々のサービスを途切れなく反復させるビジネスにもご利益があります。起業する予定がある人、新しく店を持ったばかりの人への年賀状に縁起の良いメッセージを込めましょう。自分のビジネスへの思いを込めて青海波の年賀状を作ってもご利益がありそうですね。
流水(りゅうすい)文様
水の流れそのものをイメージしています。海よりは川の流れの形状ですね。多くは平行線と渦巻を組み合わせた模様で、観世水(かんぜみず)紋様は有名。室町時代に能の観世流が定紋にしたという高級感あふれる和柄です。
川の水は与えられた環境に沿うように形を変えながら流れます。時代の変化を怖れず、侮らず、曲折を乗り越えながら進化する道筋を象徴し、どんなに傷ついてもやがては回復する生命力を示しています。
花や生き物と組み合わせて季節感を出すことも多く、着物や帯、和装小物など汎用性の高い柄の一つですね。当サイトの年賀状では干支の動物と水の流れをレイアウトしています。「時に人の優しさや家族の情愛に癒やされながら力強く歩みましょう」というメッセージを込めたつもりです。
波(なみ)紋様
ややリアル系の波模様。この波の持つ意味は活発で弾むような人生の流れです。躍動感があり、未来への期待が波打つイメージです。積極的に変化を求める人にはとても縁起のいい水紋で、例えば、恋をしたい、転職したい、新しいスキルを習得したい・・・そんな人達にラッキーを運びます。夏のイメージが強いので、暑中見舞いにも最適です。
幾何学模様の和柄
三角形・六角形・菱形・円形などを基本にした柄です。単純な形状は独特の強いメッセージ性を持っています。丸や四角は安定・不動の意味が強く、鋭角を持つ三角や菱形は成長・活動の意味が強くなります。地位も財産もあり保護と維持に注力したい年配の方には円形や格子状を、赤ちゃんが生まれた家庭や発展途上にある若者には亀甲や矢絣などを送るといいですね。
亀甲(きっこう)文様
六角形の文様です。亀の甲羅の模様を図案化した吉祥紋です。
六角形は線面を下にするとどっしり安定し、点を上下に向けると先鋭的になります。更に1方向に引き伸ばすと矢のような鋭角になり、正六角形にすると鈍角になって安定します。柔軟性に富んだ形状で、攻守を自在に切り替える知力を持っています。亀さん自体が長寿を象徴する縁起物であり、恐竜より古くからあの姿のまま現代まで存続してきた驚異的な生き物です。亀甲は長距離を走り続けるのに必要な戦略を秘めた柄だと言えるでしょう。個人的に亀甲紋、特に花菱亀甲(はなびしきっこう)が大好きで、年賀状のデザインに多用しています。
格子(こうし)文様
四角形を組み合わせた、いわゆるチェック柄です。整然としたマス目は正義や論理を示唆し、誰の目にも優劣がはっきりするような福運に縁があります。スポーツの試合を控えた友人や何かの資格にチャレンジする知人に送る年賀状には紅白・金銀のおめでたい組み合わせの格子柄がお勧めです。2色の正方形を上下左右にタイル状に並べた格子柄は世界中にありますが、日本では「市松格子」と呼ばれています。歌舞伎の人気役者が好んで着用したことが名前の由来だそうです。ヨーロッパサッカーのユニフォームなんかにも使われている柄ですね。
格子文様には市松模様の他にも三本の線を交差させた「三筋格子(みすじこうし)」という模様などいろいろあります。三筋格子も歌舞伎から流行した模様です。
麻の葉(あさのは)文様
植物の麻の葉に似ていることが名前の由来です。和柄の麻の葉は六角形を組み合わせた模様で、刺し子の布製品によく使われていますね。パッチワークのレモンスターというパターンにも似ています。上述した六角形を幾重にもつなげた柄で、危機を回避しながら着実に成長する意味を更に継続・増幅させた無敵の吉祥紋です。昔は産着にこの柄を用いる風習があり、赤ちゃんがあらゆる災厄から守られ、健やかに成長することを祈願したそうです。赤ちゃんのいるご家庭や出産を控えた女性宛の年賀状にこれ以上最適な柄はないでしょう。使い方次第で古風になったりスタイリッシュになったりする素敵な絵柄です。
矢絣(やがすり)文様
矢の二枚羽をモチーフにした模様です。市松格子をリズミカルに変形させたような柄で、縁起物の破魔矢と同じく魔除けの意味と目標を射抜く意味を併せ持っています。戦闘用具をかたどっているのに、大正時代の女学生の制服イメージが強いせいか、可愛い雰囲気の年賀状によく合います。
紗綾形(さやがた)文様
迷路のような幾何学模様です。図形の連なりではなく、卍(まんじ)という吉祥文字を斜めに崩して組み合わせた柄で、光沢のある絹地に滑らかに織り込まれた紗綾形は特に魅惑的です。無限に続く宇宙を表し、長寿と繁栄をもたらすとされています。気品のある凛とした美しさがありながら、光の移動で艶かしくも見える不思議な模様です。もしかしたら伝えられている以上のミステリアスな魔力が秘められているかもしれません。
源氏車(げんじぐるま)文様
源氏車文様は平安貴族の乗り物、御所車の車輪を図案化したもので、円形模様の一種です。源氏物語絵巻に描かれたことが名前の由来になっています。回転し続ける車輪は因果応報とか輪廻転生のような仏教的な意味とは別に、健康な機動力・家を支え守る大黒柱を示しています。源氏車を描いた年賀状には「今年も頑張って元気で働こうね」という思いが込められています。
気象・自然の和柄
雲・雨・雪など自然現象をかたどった柄です。太古の昔から気象は農作物の出来を占い、災害を察知する指針でした。自然への深い信仰が生んだ文様と言えるでしょう。自然を敬い畏れる心を常に持ち続けて用心を怠らず、その恵みへ感謝せよという戒めが込められています。
雪輪(ゆきわ)文様
雪輪文様は雪をかたどった和柄です。円形をアレンジした可愛らしい形状です。雪の多い年は豊作になると言い伝えられており、この柄には五穀豊穣の祈りが込められています。音もなく降る雪のひたむきさ、謙虚さは、自分の職責を黙って果たし、会社を支えるビジネスマンにも通じるものがあります。こうした姿勢を上司への年賀状にさりげなく込めてみるのもいいかもしれません。
エ霞(えがすみ)文様
空にかかる霞を「エ」の字型に図案化した文様です。平安絵巻などによく描かれています。雲や霞といった自然現象は何か事が起きる予兆を暗示するとされてきました。いいことが起こるのか、悪いことが起こるのかはエ霞の中に描かれる文様で分かれます。年賀状に取り入れる時は他の吉祥紋と組み合わせるといいですね。
花・植物の和柄
花は人生の絶頂期、栄華の時代を象徴します。吉祥紋に入る花の文様には薬草として珍重されていた種も多く、長寿・健康の福運をもたらします。また、松竹梅のように真冬の季節に青々と茂る植物や花をつける植物は世界中で縁起の良いシンボルとなっています。
松(まつ)文様
松は冬のイベントの飾り物に欠かせないアイテムです。日本ではしめ飾り、欧米でもクリスマスリースに使います。厳寒の頃でも葉を落とさず、伸びやかに生き抜く姿が信仰の対象になるのは当然かもしれません。力強い生命力、逆境を跳ね返すエネルギーの象徴で、松の文様は活力ある一年を願う年賀状に最適な絵柄です。
竹(たけ)文様
天空を突く程にまっすぐ伸びる竹の文様は向上心とひたむきさの象徴です。繁殖力も旺盛で地下深くに根を張り、細い外見とは裏腹にとても頑丈です。起業したての人や社会人一年目の人に力強いエールを送る年賀状になるでしょう。
梅(うめ)文様
梅は最も寒い時期に可憐な花を咲かせます。その健気な美しさを日本人は愛してきました。学問の花というイメージがあるのは中国の故事が由来だそうです。厳しい寒さをほんのりと和ませる暖かさは母性を想起させます。梅の漢字には「母」が含まれており、「うめ」が「産め」に通じることから、梅の文様は子宝祈願・安産祈願の吉祥紋となっています。出産を控えた家庭へ宛てた年賀状に取り入れてみてはいかがでしょう。
菊(きく)文様
菊の文様は放射状に等間隔で描いた花弁が太陽光線のように見えることから強烈な存在感とアピール性を示します。主役となって注目を集めるような華やかな場面に縁があるので、結婚式を控えた友人への年賀状に最適です。スターやヒーローの暗示も強く、スポーツ好きな人に活躍を祈って送るのもいいでしょう。
牡丹(ぼたん)文様
艶やかな牡丹の花には「富貴花」という別称があります。昔から中国で愛され、栄華の象徴と謳われてきました。薬草であったため、不老長寿をもたらすともされています。「いつまでも若々しく元気でいてね」という思いを込めて、離れて暮らしている両親や祖父母に送る年賀状に牡丹の文様を描くのもステキです。
桜(さくら)文様
桜は日本人に一番愛されている花と言ってもいいでしょう。桜の開花は春の訪れをはっきりと告げてくれます。年賀状は元々新しい「春」を祝う挨拶状でした。満開の桜は厳しい季節を乗り越えて到来する、明るい時代の始まりを意味します。お祝い事に相応しい桜の文様は、特に新成人や新入学・新入社を控えた人への年賀状にピッタリな柄です。
南天(なんてん)文様
冬に鮮やかな赤い実をつける南天はお正月を飾る植物の一つとして定着しています。また、「なんてん」という読みが「難を転ずる」に通じることから、回復・好転の福運をもたらすとされています。低迷期には南天の文様を年賀状に載せて挽回への祈りを込めてみましょう。
和柄の種類はここで紹介したもの以外にも数多くあります。和柄同士を組み合わせたデザインも多岐に渡ることから、和装の専門家でも把握しきれないほどでしょう。
和柄の意味や由来を知ることで、単に年賀状のデザインでしかなかった文様の一つ一つに隠された願いや祈りが見えてきます。年賀状を手に取る時、和柄が語りかける言葉の意味を思い出してみて下さいね。
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