年末の挨拶「良いお年を」いつからいつまで?使い方の作法は?返事は?

年末の挨拶「良いお年を」いつからいつまで?使い方の作法は?返事は?
暮れのご挨拶の定番「良いお年を!」はそもそもどういう意味なのか、上司や目上の人に使う時の作法があるのか、「良いお年を」と言われたら何て返事をしたらいいのか、英語には同じような言葉があるのか、「良いお年を」を言い換えるとすれば、どんな挨拶か、などなど「良いお年を」の詳しい解説記事です。
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「良いお年を」は「良いお年をお迎え下さい」の略語

良いお年を」と言ったら、それは「良いお年をお迎え下さい」と言ったのと同じことになります。

「良いお年を」は、年内はもう顔を合わせることがないだろうと思われる相手に対して、「お会いするのは今年はこれで最後ですが、(あなたが)幸せな新しい年を迎えられることを祈っています」という意味を短い言葉で伝えられる便利な挨拶です。

「良いお年を」の由来

日本の一般庶民、特に商人には昔から「始末(しまつ)」を重視する道徳観があり、その年のことはその年に始末し、翌年には持ち越さないという姿勢が尊ばれていました。

その道徳観は江戸時代の町民たちにも受け継がれ、「年内に掛け売りの支払いをきれいに済ませて身も心もさっぱりさせて新年を迎えましょう」と心がけたことが、「良いお年を」という挨拶の始まりと言われています。また、家々の汚れを年内にキレイにして新年を迎えましょう、という意味だとの説もあります。義理堅く清潔好きな日本人ならではの習慣ですね。

いずれにしても「良いお年を」には、かつて、「良い新年を迎えられる準備は整いましたか? お互いに今年の垢は今年中にきれいさっぱり落として、新年をスタートさせましょうね」といった公共心の確かめ合いのニュアンスも込められていたようです。

「良いお年をお迎え下さい」と「良いお年をお過ごし下さい」

上述したように、江戸時代には「お正月を迎える準備はできた?」という問いかけが込められていたため、「良いお年をお迎え下さい」と同時に「良いお年をお過ごし下さい」という意味も強く、実際「良いお年をお過ごし下さい」と挨拶する人たちもいました。

現代では、そうした公共心の確認のような意味合いは完全に薄れ、「楽しいお正月を迎えてくださいね」と相手の幸せを祈るだけの挨拶となっています。「良いお年をお過ごし下さい」と挨拶する人はほぼいないでしょう。

「良いお年を」と挨拶するのはいつから、いつまで?

「良いお年を」と挨拶するのは「年末」「歳末」「年の暮れ」「年の瀬」であることは共通認識です。
では、いつからが「年末」「年の暮れ」「年の瀬」なのでしょう。

これにははっきりした決まりはありませんが、「お正月の準備を始める頃から」というのが暗黙の了解みたいですね。
地方によっては「12月13日から」と日付指定している所もあるそうです。

「年の瀬」はいつぐらい?|NHK放送文化研究所
世界に類を見ない、放送局が運営する総合的な放送研究機関

いろいろな情報を総合的に考えると、12月半ば過ぎてからが「年末」「歳末」「年の暮れ」「年の瀬」と考えていいでしょう。「良いお年を」と挨拶をするのも、その頃からが無難なようです。

お歳暮のお礼の電話で「良いお年をお迎え下さい」と言いたい

ただ、12月に入るとすぐ、お歳暮を贈ったり貰ったりして、仕事の関係者や親戚と連絡を取ることが多くなります。その上、最近はお歳暮の早期割引とかがあって、早い人だと11月にお歳暮を贈る人もいます。
ここで悩むのが、お歳暮のお礼の電話の最後に「良いお年をお迎え下さい」と言うべきかどうかってこと。
前述したように「年末」には明確な規定はありません。
もし、遠方の親戚などで年内に会うことはない相手なら、それが12月の初頭であっても「良いお年をお迎え下さい」と言ってしまって構わないでしょう。

大晦日には「良いお年を!」と言ってはいけない?

「良いお年を」はいつまで?と聞かれれば、普通「大晦日(12月31日)まで」と思いますよね。
ところが、正解は「12月30日まで」「大晦日(おおみそか)」には「良いお年を」とは言わないのがお約束なのだそうです。

お正月の準備や必要な支払いは30日までに片付けるのが良識で、大晦日は静かに年越しする日とされています。本来は大掃除(すす払い)も12月30日までに終え、しめ飾りや鏡餅を飾るのも12月30日まで。
正月の買い物もおせち料理も前日までに揃えておかなくてはいけません。(とは言っても、ただでさえ忙しい年の瀬だし、仕事が押しちゃうこともあるし、スーパーは大晦日にセールやるし、現代では難しそう・・・。)

ともかく、「良いお年を」は大晦日に使うと顰蹙を買う恐れがある(?)らしい・・・ということだけ覚えておいてもいいと思います。
代わりに、「来年もどうぞ宜しく」とご挨拶しましょう。

「良いお年を」の使い方・例文

「良いお年を」を使う場やタイミング、言い方、書き方、「良いお年を」と挨拶された時の返事の仕方、前後に置くフレーズなどの例文をまとめました。

目上の人へは「良いお年を」を丁寧に

口頭でもメールでも、相手が目上の人(上司・先生など)なら、省略せずに「良いお年をお迎え下さい」としましょう。
その上で、「どうぞ」や「ませ」を前後に置くと、もっと丁寧な言い方になります。「どうぞ、良いお年をお迎え下さいませ

会社・職場で仕事納めに「良いお年を」と言うタイミング

仕事納めの会食をした後などに、相手が退社するか、自分が退社するタイミングで言います。

  • 今年もありがとうございました。どうか良いお年をお迎え下さい。来年もよろしくお願いします
  • お先に失礼します。どうぞ良いお年をお迎え下さい

企業の取引先に「良いお年を」とメールする

相手先の仕事納めの数日前くらいのタイミングでメールします。メールの最後に、自社の年末年始の営業日程を書くことが多いです。

  • 本年は何かとご高配頂きまして、誠にありがとうございました。明年も引き続きご愛顧賜りますよう宜しくお願い申し上げます。どうぞ良いお年をお迎え下さいませ。尚、弊社の年末年始の営業は以下の通りとなっております。
  • メールにて失礼致します。本年、貴社並びに○○様に賜ったご厚情に衷心より御礼申し上げます。明年も変わらぬご厚誼を何卒宜しくお願い致します。今年も残りわずかとなりました。どうぞ良いお年をお迎え下さい。

「良いお年を」と挨拶されたら、返事は?

「それでは、良いお年を」と別れ際に挨拶されたら、「ありがとうございます。○○さんも、良いお年をお迎え下さい」や「あなたも、どうぞ良いお年を」と返事します。
相手の挨拶の丁寧さとつり合うように返事するのが作法です。

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不幸があった相手、喪中の相手に「良いお年を」はNG?

「良いお年を」の意味からいって完全にNGとまでは言えないかもしれませんが、悲しみの最中にある人にかける言葉としては少々デリカシーに欠けると受け止められる危険性があります。
できれば他の言い回しに換えた方がいいでしょう。「また来年、お会いしましょう」など、当たり障りのない表現が無難です。

「良いお年を」の別の言い方・言い換え

  • お元気で年をお越し下さい
  • 良いお正月をお迎え下さい
  • 来年は明るい一年にしたいですね
  • 楽しいお正月を過ごして下さいね
  • お健やかで年越しなさって下さい
  • お互い元気で新年を迎えましょう

「良いお年を」を英語で言うと?

実は、日本で年賀状の賀詞の定番である「Happy New Year!」は「良いお年を!」と訳されることがあります。英語圏では年末年始どちらにも使える挨拶文なのです。
「Happy Holidays!」も同様です。

まとめ

「良いお年を」は年末・年の瀬に交わす今年最後のご挨拶で、「良いお年をお迎え下さい」の略です。
12月半ばを過ぎて、お正月の準備を始めた頃から、今年会うのは最後になる相手に「良いお年を」と挨拶するよう心がけます。また、人から「良いお年を」と挨拶されたときも、「あなたも、どうぞ良いお年を」と返事を返します。
会社や職場での仕事納めの際も、上司や同僚に「良いお年をお迎え下さい」と挨拶するのを忘れないようにしましょう。年末のビジネスメールの結びの言葉にも重宝に使えます。
上司や先生など、目上の人に使う時は省略せずに「どうぞ良いお年をお迎え下さいませ」と丁寧な言い回しを使いましょう。